
2025年3月19日に萩尾望都先生の女子美術大学での講義録の第2弾が刊行されます。刊行前ですが、いち早く読ませていただきました。
2011年より女子美術大学の客員教授を勤められている萩尾望都先生は年に2~3回、講義に登壇されます。
①学生のみ対象とした講義
②学生の講義で一部だけ一般公開
③オープンキャンパスで一般公開
上記3種類ありますが、若い学生さん向けの講義と、古くからのファン向けの講義はやはり内容が少し異なります。今回はこの15年弱の中で行われた多くの講義の中から選りすぐりのものが収録されています。
第1章 両親との葛藤から生まれた作品たち:2017年10月2日の講義より構成 「仕事を決める、選ぶ、続ける」②
第2章 フランス人を魅了する萩尾望都の世界:2024年3月10日の講義より構成 「アングレーム国際漫画祭」③
第3章 物語を深めるキャラクターの描き方:2015年7月19日の講義より構成「漫画技法と表現」③
第4章 人はなぜ物語を求めるのか:2023年10月30日の講義より構成 ①
第5章 萩尾望都が描く物語の世界:2022年11月28日のオンライン講義より構成 ①
→詳細な目次はこちらに「萩尾望都という物語」
特に第1章は「神回」と個人的に呼んでいる回です。このときの反響の大きさはこちらにまだ残っています。
→萩尾望都先生 女子美術大学特別公開講座「仕事を決める、選ぶ、続ける」感想まとめ(togetter)
第3章のときは壇上で先生が実際に絵を描いているところを拝見することが出来た回ですし、新しい昨年のアングレーム国際漫画祭での講義が第2章に入っています。今回、私は第4章の学生さん向けの講義に特別に入らせていただき聴講しています。第5章はオンラインのため聴講しておりませんが、オンラインならでは参照画像が多い回だと思います。
前回の講義録「紡ぎつづけるマンガの世界」が出版されたとき、講義録というものが地味で企画として難しいのだろうと思いますが、有名人との対談が3章入っていて、それはそれでもちろんおもしろいのですが、もっと興味深い回があったのになという感想は持っていました。おそらく第1弾の好評もあるでしょうけれど、何よりも編集の方の執念もあって、第2弾が出せたのだと思います。これは本当に素晴らしい本になりました。ずっと待っていたかいがありました。
古くからの先生の作品のファンは作品ができるまでの裏側を語られた内容を興味深く感じるでしょう。また、マンガ家を志す若い方にとって、周囲との軋轢をどう克服するか、自分にとって今何をすべきかの指針になると思います。具体的な漫画技法についても触れられており参考になると思います。
「萩尾望都という物語」という自伝評伝のような書名に当初は戸惑いましたが、これは納得の内容です。是非読んでください。
尚、口絵に萩尾先生がアナログとデジタルの組み合わせで具体的にどのような形で原稿を仕上げていくかという図がカラーで載っています。こちらも貴重な画像です。許可をいただいたのでご覧ください。







