「トーマの心臓」プレミアムエディション刊行

2023年2月9日、「トーマの心臓」プレミアムエディションが発売になりました。
「トーマの心臓」(小学館)
「トーマの心臓」は過去に①フラワーコミックス、②萩尾望都作品集、③旧小学館文庫、④小学館叢書、⑤小学館文庫、⑥パーフェクトセレクションと様々な版で刊行され、今回のが7つ目です。
トーマの心臓(作品) / 単行本 / 作品集 /パーフェクトセレクション 

B5サイズ

今回のプレミアムエディション最大の売りはB5サイズで連載掲載時と同じであることでしょう。雑誌収録時の切り抜き見ながら感慨深いものがありました。

扉絵の一部は原画から起こしたもの

連載時、すべて読者プレゼントに出してしまった扉絵の中から7枚だけ原画から収録されています。「萩尾望都画業50周年記念展」のときの呼びかけに答えてくださった、個人所蔵の原稿から起こしたものです。
p41(第3回)
p97(第7回)
p169(第12回)
p279(第19回)
p295(第20回)
p311(第21回)
p441(第29回)
「パーフェクトセレクション」の時のものと見比べてみると当然ですが格段に線も色も繊細で、感動します。ご提供くださった皆さま、本当にありがとうございました。

2007年の「パーフェクトセレクション」の時に初めて扉絵が収録されました(それ以前の単行本にはそもそも扉絵が入っていません)。ネーム入っていませんので、雑誌掲載のものからスキャンなどではなく、写真にとっておいたネガかな何かから起こしたものと想像しています。

p409(第27回)は原稿から起こしたものを先生が修正したとあります。これについては末尾に追加します。

イラスト収録

イラストがいろいろと収められています。まずは「訪問者」のカラー2枚、あらすじ・人物紹介時のカットなどいろいろ入っています。画業50周年のときに掘り起こされたものもありますね。

また、2015年のスタジオライフ結成30周年のために描き下ろしたイラストと2010年の公演パンフレットに収録された「シュロッターベッツ学院の見取り図」も。

3作品収録

「訪問者」「湖畔にて」も収録されているので、分厚いです。でもこれで「トーマの心臓」に関する作品がまとめて読めるので、お得かと。これに「11月のギムナジウム」も読むといいと思います。

雑感

雑誌掲載時の扉絵には「No.」が振ってあります。これと「トーマの心臓 萩尾望都」を掲載時と同じ位置に貼り込んだものが載っていたらさらによかったな…。というのはパーセレのときも思いました。

扉絵が入ることで「リズムが崩れる」なんていう話もありますが、絵が増えた方がいいに決まってます。リズムつけて読みたいときは文庫本やフラワーコミックスで読めばよいと思いますが、もしできれば巻末にまとめて「イラストギャラリー」形式でもよかったようにも思います。

イラストギャラリーの中に「トーマの心臓アーカイブス」という過去の単行本の表紙一覧がありましたが、赤本と萩尾先生の絵ではないものの、旧小学館文庫や小学館叢書の東逸子先生のものも入ってたらよかったのに…と思います。トーマの心臓は本当に版が多い。それだけ名作なのです。

トーマの心臓プレミアムエディション
トーマの心臓プレミアムエディション

追記。第27回の扉絵は何になるのか

p409の第27回の扉絵ですが、ここだけカラーです。実はこれは扉絵ではなくて、扉絵の裏ページになります。ネームが入っているので、作品の一部ととらえていいと思います。

週刊少女コミック 1974年第46号 p200

では、扉は何だったのかというと、下記のような2作品の並列になっています。スモールギャラリーのページに右のカットが収められています。おそらく人気のあった左の作品をカラーで出さないわけにはいかないし、でも人気のあまりない「トーマの心臓」を盛り上げようとする試みもしなくてはならないというような状況が見えます。萩尾先生が時々今でも「私は巻末作家」とおっしゃるのは、この頃の記憶が根付いておられるのかもしれません。今となっては信じられない話ですが。

週刊少女コミック 1974年第46号 p199

スモールギャラリーのことですが、ページの都合と思われますが、『週刊少女コミック』第32号の表紙イラストは入れて欲しかったところです。なんせこれしか表紙を飾っていないのですから(本当に人気なかった)。

週刊少女コミック 1974年32号
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