NHK「グレーテルのかまど」で「萩尾望都の“夢の中の歌”」が放送

2023年2月13日、NHK Eテレの番組「グレーテルのかまど」に萩尾望都先生が「ケーキケーキケーキ」で描かれたチョコレートケーキが登場します。

「グレーテルのかまど」は毎回一つのお菓子にまつわる物語や誕生について語られ、実際につくってみせるという番組です。2011年に開始されているので、もう長寿番組です。マンガ、小説、映画等に出てくるお菓子もたくさん登場します。

萩尾望都先生の「ケーキケーキケーキ」は1970年『なかよし』9・10月号の別冊付録として発表されました。原作付きなのですが、元気のいい女の子ががんばる作品です。
「ケーキケーキケーキ」

番組の中に登場する“夢の中の歌”という言葉ですが、主人公のカナが窮地に陥ったときに、お菓子職人だったアルベールが歌う歌が聞こえてくるのです。それで、ケーキをこの名前にしたのです。

どんな仕事でも心が大切
楽しい心で作らなきゃおいしいお菓子はできないよ
働く人々がいこう平和な時間に
最高のお菓子を…
萩尾望都「ケーキケーキケーキ」

「グレーテルのかまど」は人物にも焦点を当てることが多いので、萩尾先生についてのお話も出てくるのでは？と期待しています。

「グレーテルのかまど」
初回放送日
2023年2月13日（月）22:00～22:24（Eテレ）

再放送
2月15日（水）11:05～（総合）
2月17日（金）13:05～（Eテレ）

配信
NHK＋　見逃し配信：2月13日（月）～2月20日（月）22:24
NHKオンデマンド：2月14日（火）～2月27日（月）

美しいフランス菓子“夢の中の歌”。萩尾望都の少女漫画作品に登場するケーキだ。パティシエを目指す主人公の少女がつくったというこのケーキ、いったいどんなケーキ？

“少女漫画の神様”と呼ばれ、漫画史上数々の金字塔を打ち立ててきた萩尾望都。美しく繊細な線で描かれた萩尾漫画の中で、読者を魅了してやまないのが食べ物にまつわるシーン。今回は根強い人気を誇る、初期の名作『ケーキケーキケーキ』に登場する謎に満ちたケーキに、ヘンゼルとかまどが挑む。手掛かりは萩尾望都の描いた漫画だけ。ケーキはどうやって生まれたのか、作品に込められたメッセージは？創作秘話もご紹介！
NHKグレーテルのかまど

グレーテルのかまど「萩尾望都のチョコレートケーキ」

瀬戸康史が漫画家・萩尾望都（はぎおもと）のチョコレートケーキに挑戦（NHK PR）

【追記】放送後

チョコレートケーキはなめらかで美しく、とてもおいしそうなケーキでした。レシピが公開されていますが、すごくたいへんそうです。私にはとてもチャレンジする気にはなれません。

「ケーキケーキケーキ」は萩尾先生はパリに行ったことがなく、写真を資料にして描いています。パリのお菓子屋さんの資料が入手できず、困っていたところ、パリから帰ってきたばかりの手塚治虫先生に様子を聞くことができたというお話はこちらにあります。→関係者インタビュー　私と手塚治虫　萩尾望都編　第3回

「ポーの一族」のリデルに食べさせているコールドチキン、「トーマの心臓」の夕食のスープやお茶会、「11人いる！」の栽培シーン、「残酷な神が支配する」「メッシュ」「バルバラ異界」の食事などが登場しました。萩尾望都先生はデビュー間もない頃「あなたのマンガには生活感が足りない」と編集者に言われ、生活感を出すために考えた方法が「食事のシーン」を織り込むこと。デビュー作「ルルとミミ」はやっぱりお菓子をテーマにした作品でした。

知らない食べ物の名前が出てきて興味が引かれると言えば「トーマの心臓」の「ヨハンナスピリッツのパイ」です。「湖畔にて」やコミックエッセイ「こんにちは、さようなら」（『週刊少女コミック』1973年第6号）にも登場するヨハンナスピリッツ→グズペリ→スグリの実のパイということですが、なかなかな「謎」でした。

萩尾先生がこの物語を通じて伝えたかったこと。