2024年10月17日に求龍堂から刊行された「鏡 志村洋子 染と織の心象」に萩尾望都先生がイラストとエッセイを寄稿されています。
「鏡 志村洋子 染と織の心象 The Lady of Shalott’s Mirror」(求龍堂)
「鏡 志村洋子 染と織の心象 The Lady of Shalott’s Mirror」(アトリエシムラ)
この本は着物作家の志村洋子先生の作品を夏目漱石の短編小説「薤露行」の「シャロットの女」をテーマとして編んだ作品集です。「シャロットの女」の物語についてはWikipediaでも何でもいいのでご確認ください。
本書にはまず志村先生のお着物の写真やイメージ写真が載っています。その後に「シャロットの女」のイラスト、詩、解説が載っています。萩尾先生の絵、テニスンの詩、そして研究者・高宮利行氏の解説がついています。シャロットは絵の題材になることも多く、それらについても解説で触れられています。こちらのページが詳しいです。
hanna_and_art’s blog 小舟に乗る『シャロットの乙女』(ウォーターハウス作)
萩尾先生の1枚目の絵は「鏡のシャロット」と題された作品で、禁忌を破って外を見てしまった瞬間、織糸は体に絡み付き、鏡にはひびが入っています。ハントの絵に近いイメージです。
2枚目の絵は、騎士ランスロットを追って船に乗ったシャロットの最後の姿でしょうか。呪いを破ったため、死ぬまで歌い続けることを強いられ、疲れ果てている姿をウォーターハウスが描いています。
このウォーターハウスの「シャロットの女」はミレーの「オフィーリア」に触発されて描かれたものです。有名な川に浮かぶ女性の絵ですね。萩尾先生の絵は船に横たわっているシャロットですが、柳の中にいて、オフィーリアの雰囲気があります。
ちょっと高いので躊躇していたのですが、遅くなっても手に入れてよかったです。美しいカラーのイラストが2枚も載っているとは!予想外で驚きました。