2022年7月13日、長山靖生さんの「萩尾望都がいる」が刊行されました。光文社のページ
→「萩尾望都がいる」
『S-Fマガジン』の連載「SFのある文学誌」の中で「一度きりの大泉の話」について触れている内容を拝見すると、これはとても評論として内容の濃い本だろうと思って読み始めましたが、筆致は比較的軽く、評論というよりエッセイのような感触で、とても読みやすい本でした。
SFを読んでこられた方らしい作品評も分析もありますし、多くの資料を読み解いてもおられます。が、何より萩尾愛があふれていて、これはよい本だと思いました。共感するところもとても多かったです。手をとって「そうそう!そうそう!」と言いたいところも。すべてお話するととても長くなりそうです。
私の考えでは、この本は単著での萩尾望都先生だけに関する本としては初めてのものです。もちろん同人や自費出版含め、これまで刊行された本はあります。ですが、取り扱っている内容も取り扱い方もファンのつくるサイトで紹介するにはふさわしくないと私が考えたものだけでした。評論なら作品論があるべきだし、伝記・評伝なら取材があってしかるべきです。マンガ史なら過去の記事から組み立てることはできますが、そこに先達に対する敬意が感じられない、一方的な憶測が多く見られる、そんな本はご紹介できません。この本はそのような本とは違うと思いました。
ですが、「初物」のせいか、刊行されてから長いことこの本をこのサイトのどこに入れたら良いか迷っていました。萩尾先生に関する本はたくさん出版されているのですが、複数人による評論だったり、ご本人のインタビューも入っていたりするので、すべて「単行本 > 特集」に集めていました。ですが、この本は「関連書籍・記事」の方がふさわしいと思います。でもまるごと一冊の本は初めてでおさまる場所がなかったので、リンクだけ貼ることにしました。特集本ではないのですが、やむを得ずそこに収録しました。
そんな理由でご紹介するのが遅くなり、申し訳ありませんでした。